カカオの花

【展示室2】

カカオ(学名:Theobroma cacao L.)は、アマゾンの低地熱帯雨林を原産とする熱帯植物であり、アオイ科(Malvaceae)に属する常緑の多年生樹木です。現在では、湿潤熱帯地域を中心に世界50か国以上で広く栽培されています。

「Theobroma」はギリシャ語で theos(神)+ broma(食べ物)=「神々の食べ物」という意味で、18世紀の植物学者カール・リンネが名付けました。古代メソアメリカ文明では、カカオ豆は神聖な食べ物として儀式にも使われていました。

カオの木の花はとても小さく、直径わずか1〜2センチほどしかありません。色は白〜淡いピンクで、星のような形をしています。花のつき方は「幹生花(かんせいか)」で、枝の先ではなく、幹や太い枝の表面に直接咲くという特徴があります。(幹に直接花が咲く植物は、熱帯地方に多く見られる珍しいタイプです。)

カカオの木は一年中花を咲かせます。温かく湿った気候のもとでは、1本の木から年間に数千もの花が咲きますが、実になるのはごくわずか。およそ100〜200個の花のうち1つだけがカカオの実(ポッド)になります。

花はとても小さく複雑な形をしているため、ミツバチのような大きな昆虫は入れません。
代わりに、コバエの仲間(ミジンコバエなど)が受粉を助け、チョコレートの原料となるカカオの実が育つのを支えています。

カカオの木は種子から育ち、3〜5年で実をつけ始めます。幹や太い枝に直接実るカカオの実(ポッド)は、熟すと緑色から黄色・オレンジ・赤色へと変化します。
ラグビーボールや子どもの顔くらいの実には、20〜50個もの「カカオ豆」がぎっしり詰まっています。ポッドの中には白い果肉に包まれたカカオ豆が入っており、これがチョコレートの原料となります。

収穫された豆は発酵・乾燥・焙煎という過程を経て、香り高いココアやおいしいチョコレートになります。

学名:Theobroma cacao
植物分類:アオイ科テオブロマ属
原産地:南アメリカ・アマゾン地域

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シュウメイギク

【展示室3】

シュウメイギクは、夏の終わりから秋にかけて美しい花を咲かせる多年草です。

高さは60~75cmほどに成長し、細くしなやかな茎の先に、白や淡いモーブピンク色のカップ型の花を咲かせます。中央の緑色のボタン状の部分を黄色い雄しべが取り囲む姿は、控えめながらとても華やか。花茎は風に揺れるため、「ウィンドフラワー(風の花)」の愛称でも親しまれています。

原産地は中国中部や南西部の草地や小川沿いですが、日本で長年栽培されるうちに野生化し、
「日本原産」と誤解されることもあります。
基部にロゼット状の葉をつけ、葉の裏は柔らかい毛で覆われ、葉のギザギザとした縁もかわいらしい特徴です。

アネモネ・フペヘンシスは、晩夏〜秋の庭に華やかさをプラスしてくれる頼もしい宿根草です。
自然に群生する姿も楽しむことができ、手間はかかりますが、毎年美しい花を咲かせてくれます。

学名:Anemone hupehensis
植物分類:キンポウゲ科アネモネ属
原産地:中国、台湾


    

ナルキスス・ヴィリディフロルス

【展示室3&アトリウム】

秋に咲く神秘の緑色スイセン ― 香りと姿が魅力の珍しい種

スペイン南西部と北アフリカのごく限られた地域に自生する、ちょっと不思議な緑色をした<原種スイセン>。この秋咲きのスイセンは、星のように広がるクモの足のような花びらと、驚くほど甘く軽やかな香りが特徴です。花は10月頃に咲き、くすんだ緑色の花弁は二重の輪になっており、外輪と内輪それぞれ3枚ずつで構成されています。丈夫な株では、花茎に最大4輪の花をつけることもあります。

特に面白いのが、外側の花弁の先端近くにある白いふわふわした付属物。
見た目は害虫のようですが、実は花の一部で、花粉媒介者を引き寄せるために進化したものと考えられています。(内側の花弁にも小さな似た構造があります。)
これはすべての株で同じ位置に現れる特徴で、自然界のちょっとした「小さな秘密」と言えます。

このスイセンの生態もユニークです。花を咲かせる年は葉を全く作らず、花茎だけで光合成を行います。一方、花が咲かない年には、一本の太い葉を伸ばして光合成を行い、30cm以上に成長することもあります。この葉は晩秋まで緑を保ち、力強さを見せてくれます。

ただし、この植物は初心者には難しく、栽培には少し工夫と経験、そして運が必要と言われています。種子も扱いが難しく、播種後すぐに発芽することもあれば、数か月~1年休眠することもあります。発芽してから開花までには5~6年かかるため、気長に育てる必要があります。

それでも、この緑色スイセンの香りと姿は、育てる価値十分。珍しいだけでなく、庭や鉢で育てる楽しみも大きく、栽培者にとっては「育てがいのある宝石」のような存在です。

学名:Narcissus viridiflorus
植物分類:ヒガンバナ科スイセン属
原産地:モロッコ、スペイン


    

フジバカマ

【展示室3】

フジバカマは、古くから人々に親しまれてきた植物で、万葉集にも詠まれた「秋の七草」のひとつです。花は淡い藤色をしており、葉や茎にはさわやかな香りがあります。乾燥させると、桜餅の葉のような甘い香りが立ち、昔は匂い袋としても利用されていました。

しかし現在は、自生地の減少により、環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されています。
秋には「旅する蝶」として知られるアサギマダラがこの花を訪れることで、近年ふたたび注目を集めています。

茎は赤紫色でまっすぐに伸び、草丈は50~200cmほどに達します。
葉は向かい合って生え、細長い楕円形や披針形で、縁にはギザギザ(鋸歯)があります。
葉や茎には細かい毛が生えており、触ると少しざらつきがあります。

花の色は白、淡いピンク、または赤紫色で、9月から11月にかけて開花します。

学名:Eupatorium japonicum
植物分類:キク科ヒヨドリバナ属
原産地:日本

白花フジバカマ

    

ゴメサ・ラディカンス

【展示室2】

香り豊かで小さくて可憐なラン「ゴメサ・ラディカンス」は、
ブラジル南東部の大西洋岸(標高約400m)に自生する米粒サイズの小さな着生ランです。

自生地では日差しがほとんど届かない木陰で、豊富な水分のある環境に生育しています。
栽培下でも弱光〜中程度の光たっぷりの水やりを好みます。

細く明るい緑色の葉と小さなバルブが密集し、短期間で丸く整った美しい株姿に成長します。

暖かめの環境を好みますが、やや涼しい条件にもよく適応するため、幅広い環境で育てることができます。鉢植え、バスケット、板付けなど、育て方を選ばず楽しめます。

約6mmほどの蕾から、甘いハチミツのような香りを放つ可憐な花が次々と咲き、4週間以上楽しむことができます。開花は春と秋の年2回に見られ、長く美しい花姿を堪能できます。

学名:Gomesa radicans
植物分類:ラン科ゴメサ属
原産地:ブラジル南部~南東部


    

原種シクラメン

【アトリウム】

葉が出る前に花が咲く、原種シクラメン「シクラメン・グラエクム」。
乾燥した気候に適応するため、先に花を咲かせてその後で葉が出てきます。

非常に長寿なシクラメンで、100年以上生きる個体もあると言われています😲

環境が良ければ球根は約20年で直径30cmほどになります。

球根には「牽引根(けんいんこん)」という太い根があり、この根を収縮させることで、
なんと自生地の乾燥した土の中を、上下にゆっくりと移動することができます。

夏の高温や乾燥を避けるために土の深い場所に潜ったり、
涼しくなると浅い場所に出てきて生長したりと、
過酷な環境を生き抜いています。

学名:Cyclamen graecum
植物分類:サクラソウ科シクラメン属
原産地:ギリシャ南部~トルコ南部、キプロス


    

コムラサキ

【展示室3】

コムラサキ(Callicarpa dichotoma)は、秋につける鮮やかな紫色の実がたいへん美しい「ビューティーベリー」とも呼ばれる、通常の樹高は60〜120cmほどの落葉性の低木です。

和名「コムラサキ(小紫)」は、同科同属の「ムラサキシキブ(紫式部)」を小さくしたような姿に由来するとされています。初夏には淡い紫色の小花が咲きます。

枝は細くしなやかで、アーチ状に優雅にしなり、地面に届くほど垂れ下がることもあります。夏になると、葉の付け根(葉腋)からピンク〜淡紫色の小花が房状(集散花序)に咲き、秋ごろになると直径約3mmほどの紫色の実が房状に実ります。果実は9月頃に熟し、10月にかけて最も見頃を迎えます。
葉が落ちた後もしばらく枝に残りますが、冬の深まりとともに自然に落果します。

葉は楕円形〜倒卵形(長さ2.5〜7.5cm)で、鋸歯(ギザギザ)は葉先側のみに見られるのが特徴です。秋には黄色く紅葉し、紫色の果実との美しい対比を楽しめます。

コムラサキはハチなどの昆虫が花から花へと花粉を運ぶ「虫媒花」です。
複数の株をまとめて植えることで虫が移動しやすくなり、実つきがよくなり、より華やかな印象を演出することができます。

学名:Callicarpa dichotoma
別 名:小紫(コムラサキ)、小式部(コシキブ)
植物分類:シソ科ムラサキシキブ属
原産地:日本、朝鮮半島、中国



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