ハイドゥンツバキ(カイドウツバキ)
【特別展示室】
約100年以上前に発見されていますが、現在までほとんど知られていなかった種です。
高さ2~3mになる半耐寒性常緑低木で、樹々の下などの暗い場所に生育するツバキの仲間です。ほとんどのツバキは頂生(ちょうせい)といって、枝の先に花を付けますが、この種は腋生(えきせい)、つまり葉のつけねの部分に花を付けるタイプです。
花の色は桃紅色、質感もこれまでにはない肉厚で、蝋細工のように美しい花が魅力です。花弁は6弁以上つき半八重に見えます。また、白花品種も存在しており、清らかさを象徴するような純白の花を咲かせます。赤みを帯びた新芽との対比が美しいのも特徴です。当館では、白花も栽培展示を行っており、時期によっては、紅白同時開花を迎えます。
カイドウツバキ(海棠椿)とも呼ばれ、ベトナム語で「海棠」は「Hi Duong」、日本語では「ハイドゥン」「ハイドン」と呼ばれています。ベトナムのテト(旧正月)にはこの花が使われるようです。
2018年時点で、国際自然保護連合(IUCN)により野生では絶滅したと宣言されており、現在は植物園や栽培下でのみ生き残っています。
学名:Camelia amplexicaulis
和名:カイドウツバキ
別名:ハイドゥン(Hi Duong)、ベトナム椿
植物分類:ツバキ科ツバキ属
原産地:ベトナム北部
ポインセチア
【展示室5、アトリウム】
ポインセチア(Euphorbia pulcherrima)は、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)に属する常緑性の低木です。原産地はメキシコおよびグアテマラで、19世紀初頭に植物学者でありメキシコ駐在大使でもあったジョエル・R・ポインセットによってアメリカ合衆国に紹介されました。種小名の pulcherrima はラテン語で「最も美しい」という意味を持ちます。
自生地では海岸沿いや乾燥した熱帯林に生育し、高さ3~4メートルほどに成長しますが、観賞用として流通するものは、鉢植え向けに改良され、高さ60~90cmほどに抑えられています。現在では、クリスマスを代表する装飾植物として世界中で親しまれています。
ポインセチアの「花」に見える鮮やかな赤やピンク、白などの部分は、実際には花弁ではなく「苞(ほう)」です。本当の花は、苞の中心にある黄緑色の小さな杯状の構造をしている部分です。
冬から春にかけて開花し、装飾的な苞が小さな花を引き立てています。
葉は濃緑色の卵形で、切れ込みの有無には個体差があります。茎や葉を傷つけると、トウダイグサ科特有の乳白色の樹液が出ます。

原種のポインセチアは赤色のみで、色持ちも短いものでしたが、現在では改良が進み、コンパクトで丈夫、長期間楽しめる品種が主流です。赤が最も人気ですが、白、ピンク、サーモン、アプリコット、黄色、クリーム色など、数百種類もの品種が存在します。中には、斑点状や大理石模様など、1枚の苞に複数の色が入る個性的な品種もあります。
開花後は観葉植物としても楽しめ、夏の間は屋外で育てることも可能です。ただし、自然条件下ではクリスマス時期に再び開花させるのは難しく、主に観賞用として楽しまれています。
ポインセチアは、現在もクリスマスシーズンにおける鉢植え植物の中で、最も経済的価値の高い植物のひとつです。
学名:Euphorbia pulcherrima
別名:ポインセチア、クリスマスフラワー、ショウジョウボク(猩々木)、
メキシカン・イースター・フラワー
植物分類:トウダイグサ科トウダイグサ属
原産地:メキシコ
オンシジウム・シャリーベイビー ‘スウィートフレグランス’
【展示室2】
オンシジウム・シャリーベイビー ‘スウィートフレグランス’ は、10 月から 3 月にかけて、深い赤と白の小さな花をたくさん咲かせる人気のランです。
背が高くしなやかに伸びる花茎の先にびっしりと花をつけ、ふんわりと漂う甘い香りが魅力の品種です。特に朝から午後の早い時間にかけて、濃厚なチョコレートの香りが最も強く感じられます。
栽培しやすいことでも知られており、花茎は 約 60 cm以上に伸びることも。
開花期になると、甘い香りが数週間もお部屋いっぱいに広がります。
チョコレート好きの方にも、香りのよいランをお探しの方にも、ぜひ育ててみてほしいおすすめの品種です。
学名:Oncidium Sharry Baby ‘Sweet Fragrance’
植物分類:ラン科オンシジウム属
クレロデンドルム・スペキオスム(ベニゲンペイカズラ)
【展示室2】
クレロデンドルム・スペキオスム(Clerodendrum × speciosum)は、アフリカ原産のゲンペイクサギ(Clerodendrum thomsoniae)とベニバナクサギ(Clerodendrum splendens)の交配種です。
名前のとおり華やかで見事な常緑つる性低木です。
ハート形の葉に、夏から秋にかけて赤い花と、つぼみの頃は桃色、開花時には白っぽく変化する美しい苞を房状につけ、そのコントラストがとても魅力的です。秋には青い実をつけることもあります。
濃緑色で深い葉脈の葉と、長い茎の先端に咲く花姿は存在感があり、日向から日陰まで幅広い環境に順応するため、育てやすいのも魅力です。トレリスやフェンス、アーチ、柱などに誘引することでより美しく仕立てることができ、風を避けられる場所での地植えが特に向いています。
鮮やかな花色が季節を通して楽しめる、観賞価値の高いつる植物です。
学名:Clerodendrum × speciosum
植物分類:シソ科クサギ属