シラタマホシクサ

2025年10月6日

【展示室3】

シラタマホシクサは、日本の固有種で、東海地方(愛知・岐阜・三重・静岡)の湿地を中心に自生する一年草です。

花の時期は8月下旬から10月ごろで、白い綿毛に包まれた小さな花が集まり、まるで白い金平糖のように見えることから、「コンペイトウグサ(金平糖草)」の別名もあります。

草丈は20~40センチほどで、根もとから生える葉は細長い線形をしており、先端が針のように尖っています。8月から10月にかけて開花し、茎の先に1センチにも満たない白い球状の花(頭花)を咲かせます。

この白い花は、実は白い短い毛におおわれた多数の小さな花が集まったもので、その可愛らしい姿から「白玉星草(シラタマホシクサ)」という和名がつけられました。

花の中心がややへこんで見えるのは、構造上の特徴で、白っぽく見える部分は雄花や雌花の一部、
黒っぽく見えるのは雄しべの葯(やく)です。
花の後には「さく果」と呼ばれる実ができ、熟すと下の方が割れて中から種子がこぼれ落ちます。

シラタマホシクサは、湿地の中でも特に草が少なく、日当たりのよい環境を好む「一番はじめの自然の姿」を象徴する植物です。湧き水のある水田のそばなどに広く見られましたが、都市開発や農地の整備によって湿地環境が失われ、現在では限られた場所でしか見られなくなりました。

そのため、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されているほか、 愛知県・岐阜県・静岡県で絶滅危惧Ⅱ類(VU)に、三重県では絶滅危惧IB類に分類されています。

学名:Eriocaulon nudicuspe
別名:シラタマホシクサ、コンペイトウグサ
植物分類:ホシクサ科ホシクサ属
原産地:日本(伊勢湾沿岸)

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