【アトリウム】
ムジナモは、植物学者・牧野富太郎博士が1890年代に発見した希少な食虫植物で、
朝11時頃から12時頃のわずか1時間限定で咲く一日花です。
つぼみがつく確率自体が極めて低く、天候・気温・照度などの環境条件が非常に厳しいため、古文書にも記されているように開花の様子を目にできるのは極めて稀です。
その希少性から「幻の花」とも呼ばれています。
ムジナモは根を持たず、水中に浮かんで生きる水生の食虫植物です。 葉のように見える部分には毛がたくさん生えた捕虫葉があり、水中のミジンコなどの小さな動物を捕らえて栄養にします。
その捕虫速度はなんと0.01秒以下で、植物界でも世界最速クラスの素早さを誇ります。
牧野博士は、ふにふにと丸い姿がタヌキやアナグマの毛玉に似ていることから「ムジナモ」と名づけました。
今回のムジナモは、大阪花博で「ヒマラヤの青いケシ」を世に広めた森和男氏(東アジア野生植物研究会主宰)から、貴重な個体を譲っていただいたことにより実現しました。
開花をさせることが極めて難しいといわれる「ムジナモ」を、当館のスタッフの熱心な取り組みにより、見事に開花を実現いたしました。
◎東アジア野生植物研究会
国内外の野生植物の息吹を伝え、歴史の中に埋もれた戦前園芸の輝きに光をあてる。
主宰:森和男(兵庫県三田市)
学名:Aldrovanda vesiculosa
植物分類:モウセンゴケ科ムジナモ属
原産地:ユーラシア~アフリカ~オーストラリア